浜崎祇園用語辞典
ま行


(マツ) 二本の松
 山笠飾りで、松を形どったもの。
屋形と組み合わせて置かれることが多く、何も無い場所に松だけが置かれることは、ほぼ無い。

木が色々ある中でなぜ松なのかには、理由があるらしい。

松囃子(マツバヤシ)
 囃子の曲名。当初からあった囃子の一つで、道行の囃子。

 各地に「松囃子」と呼ばれる曲や行事があるが、囃子を習った際には元の囃子は止めてもらっていたそうなので、恐らく元の曲は残っていない。中途半端に似た囃子が見つかってそれが元と思われるといけない、という理由で「ハナシ」という字を当てて「松噺子」と字を変えたという説も有る。
 「すとろこすとろこすっとんとん」という他に無い掛け声が有るが、由来等はわからない。

幻のヤマ(マボロシノヤマ)
 浜崎の山笠は、祭りが終わると山解きを行い次の日には無くなっているのでそう呼ばれている、と観光パンフレット等に書いてあることがある。
 ただし、祇園のヤマは町を練り歩いて厄を集め、解体することでこれを払う意味があるので、多くの祇園では祭りが終われば即刻ヤマは解体される。元来京都でもそうであるように、博多でもそうであるし、何も浜崎に限った特別なことではないので、浜崎だけをそう呼ぶのはおかしい。

道行(ミチユキ)
 山笠の運行中のこと。
座り山の反対で、それぞれで囃す囃子が決まっている。

道囃子(ミツバヤシ)
 囃子の曲名。当初からあった囃子の一つで、道行の囃子。

道行で囃すことから「道囃子」であるという。なぜ「ミチ」でなく「ミツ」と読むのかはよくわからないが、「道する囃子」から変化したもので、「道ス囃子」と書いて「ミツハヤシ」と読むのが正しいという説もある。

 また、最初に二回繰り返す節が最後にもう一回あり、続けて囃す際には三回繰り返すことになるので「三ツ囃子」とする説もある。東組ではこちらが誤りとされているが、濱組ではこちらを正しいとしているようだ。

ミニ山(ミニヤマ) 東若披露宴用ミニ山
 山笠のミニチュア。山囃子会館には以前1/2サイズのものが展示されていたが、現在子供山笠に転用されており、ひきやま公園駐車場内に展示してある。
 山笠関係者の結婚式披露宴では、出し物としてリヤカーに少し屋形などを乗せたものを曳くこともあるが、これもミニ山と呼ばれる。
 他に、個人が趣味で家に飾っておくものを作ることもあるが、非常に部品数が多く複雑で面倒なため、子供が夏休みの工作で手を出すと大抵挫折する。

戻り山(モドリヤマ)
 大まぎりが終わると、山笠は入ってきた方向に出てしばらく行き、山笠を定位置に収めるために綱を後ろにまわして裏山の方向に運行する。ここを指して戻り山という。

 一旦別の場所に止めて収めなければならない場合もあるが、この間に大きく旋回することは無いにもかかわらず囃子は必ず「」を囃す。これは「幕を洒う」ときの囃子であるという由来からすれば当然のことだろうか。

 戻り山で定位置に収めるとき、最後は必ず前方にもう一度、ほんの少しでも動かす。これは「後ろ向きで終わる」ということを嫌ってらしい。


辞典目次へ