浜崎祇園用語辞典
か行


帰り山(カエリヤマ)
 二日目の諏訪神社での大まぎりが終わると、三地区はそれぞれ自分の地区で大まぎりをする。濱組と東組の山笠は地元に帰るので、この運行区間を指して帰り山と言う。
 東組は濱組の山笠を追う格好になるので追い山、また西組は諏訪神社に留まるので送り山とも言う。

飾り(カザリ)
 山笠の部品で、南瓜棚から上の外見を構成するものの総称。主なものは人形屋形野面遠見など。外題によっては松以外にも梅や桜や紅葉等の木、人形の乗る船、大型の橋等、それ以外の様々なものが飾られる。

飾り山(カザリヤマ)
 浜崎の山笠を「飾り山」と説明する文章を見ることがあるが、実際には浜崎に「飾り山」という言葉はない。
 他所で「飾り山」と呼ばれる場合には、それに対して何か別の形態のがある。浜崎は他の形態の山を持っているわけではないので通常は「山」としか呼ばない。
 一時期浜崎で山笠が低かった頃、合同で元来の山笠を合同で作り、運行せず置いていたこともあったが、これは「置き山」と呼ばれたようだ。

梶棒(カジボウ) 山笠後方、横から
 山笠の方向を変えるための棒。右の写真のように取り付ける。
 肩をかけ担ぎ上げるように押すのは、天秤のことを考えても、梶棒は先端を下げる取り付け方をすることを考えても、恐らく間違い。体重をかけ下に押さえつけるように押した方がいいはずである。

(カネ) 東組鐘と三脚
 囃子の速さを左右する、拍子をとる楽器、またそれを演奏する者のこと。半鐘で、山笠に乗るときは木組みから吊るすが、練習のときには右のような三脚に吊るす。

 基本的には釣り鐘を突く部分と同じような円形の所を大太鼓と同時に、上部のイボのような部分を締太鼓と同時に叩く。
 太鼓の見習いが、勉強としてやらされることも多い。

傾り(カブリ)
 槍出し飾り等の、前方への傾き具合のこと。
 一定の位置から見てまっすぐに立って見えるよう飾るため、上に行くほど傾きが大きくなる。一定の位置をどこにとるかは、地区によって異なる。

南瓜棚(カボチャダナ) 地山下部、横から
 飾りの下段、地山の段階で見ると南瓜を並べて売る棚のように見える部分のこと。

舞台用語で、舞台の床の、奥の方を上げて傾斜がついたものを「八百屋飾り」と言うらしいが、何か関係があるかもしれない。
 浜崎の山笠には奥行きがあると言われるが、この南瓜棚と槍出しが奥行きを出すためには有用。上手く使って、実際の距離以上の奥行きを出せれば上手く飾れたと言える。

(カワ) 奥が左流れ、手前が右流れの川
 山笠飾りの一つ。野面と同じ作りで川の流れを描いたもの。左右の流れの区別がある。
南瓜棚をくねらせて流し、南瓜棚の中での流れを作り、同時に奥行きを出す。

祇園社(ギオンシャ) 祇園社
 浜崎祇園祭が奉納される神社。諏訪神社内、本殿の横から入っていったところにある。「祇園さん」と呼ばれる。神仏分離により須賀神社と改称されたが、呼び名としては定着していない。
 山笠の運行前には奉納行事が行われ、一日目の運行終了後には三区の参加者が順にお汐井を持って行き参拝する。

祇園囃子(ギオンバヤシ)
 囃子の曲名。当初からあったといわれる囃子の一つで、道行の囃子。
山笠が動き始めるときの囃子であり、囃子を習う際には基礎とされる。

 名前より、元から祇園祭の囃子であると思われがちだが、当初からあったとされる囃子はすべて遠方の祭り以外、主に舞台芸能から習ったと言われる。

寄付(キフ)
 地元三地区の住民や、町内の商店から頂くお金。現在は南瓜棚横の立て札に名前が載せられるが、以前は立て札が前方にあったり、南瓜棚の下に紙の札で下げられていたこともある。
 東組では現在、お礼に模擬の凧を配っている。

切れ(キレ) 飾りの無い空間が切れ
 山笠の、飾りが無く向こうの空間が見えている部分のこと。槍出しの下の部分の切れが良いと見栄えがする。

 また南瓜棚等で、斜めから見たときに前後に空いて切れが出来すぎる場合は、前から見ても見えないようなところに屋形を置いて埋めることもある。

(クモ) 緑、赤、青の雲
 山笠飾りの一つで、槍出しを支えるための横棒を隠すために使われる。

外題(ゲダイ)
 その山笠が飾っている場面のことで、南瓜棚前方の横長の燈籠に書かれているもの。場面を飾っているという意味で「の場」と後に付けて書かれることが多い。

 諏訪神社の由来から、鷹と蛇に関するものは選んではいけないとされる。
 最近は誰も知らないものを飾っても仕方が無いと言う事で、有名な話や、有名な人物が関係するものが選ばれている。表は武者もので裏がお伽話というのが最近の傾向としてあるが、そういう決まりがあるわけではない。
 一時期アニメ等の外題が飾られたことがあったが、周囲の飾りと合わず見苦しいので評判が悪く、長続きしなかった。しかし周囲の飾りをすべて作り変えるとしてもやるべきではないだろう。山笠は大人にとっても見上げる対象であり、子供の目線に下がる必要などないからだ。

献燈長(ケントウチョウ)
 山笠の運行上の最高責任者。山笠はすべてこの人の指示があって動く。
 道が狭く、山笠の前方両脇の燈籠や、通りの店の看板を頻繁に壊していた頃に比べると、道が広くなってしまった現在は運行する面での負担は軽くなった。しかし、運行についての警察の規制が厳しくなったので、そういった面での負担が増えてしまった。

合同山笠(ゴウドウヤマガサ)
 何らかの理由で、三区合同で作られた山笠。昭和30年代頃の山笠を低くせざるを得なかった時期には、山笠製作の技術が失われないように動かさない山笠が合同で作られた。また、昭和50年代には商工会関係のイベントで、浜玉中学校のグランド内に製作されたこともある。平成13年には北九州博覧会に参加するため、初めて浜崎の外で山笠が合同で作られた。

甲の音(コウノオト)
 の音で、息を強く入れて高く出す方の音。低く出す方は乙の音

子供山笠(コドモヤマガサ)
 山囃子保存会館に本物の半分の大きさのミニ山笠が展示されていたが、平成十四年の二百五十年祭のときにこれを子供山笠として外で作り直し、通常山笠に触れない子供達に、前夜祭で曳いてもらおうと言う企画がされた。
ミニ山笠はそのままでは運行できないバランスで作られていたので、ちょうど台車を新調した濱組の古い台車を材料に、台車が作り直された。
 また平成十六年にも町村合併のため浜玉町として最後の浜崎祇園祭になるということで、再び前夜祭として記念に曳かれた。
 この子供山笠を曳ける「子供」というのは未就学児童で、それが本物の半分とはいえ6〜7mほどにもなる山笠を曳くというのは、他所の山笠の大きさや本人たちが大した苦労もせず参加していることを考えると贅沢すぎる気もする。
 山笠とは作り上げてから解くまですべてを含めてのものと考えれば、その子供たちが山笠に本当の意味で触れているとは言い難く、その経験が将来につながるものであるかについても疑問ではある。
子供山笠と製作中の西組山笠
左が運行中の子供山笠、
右が製作中の西組山笠。

五本柱(ゴホンバシラ)
 山笠の柱のことで、前に二本と後ろに三本で合計五本ある。
昔は四隅の四本しかなかったため、四本柱と呼ぶ人もいる。


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