浜崎祇園用語辞典
や、ら、わ行


屋形(ヤカタ)
 山笠飾りの一種で、家の形をしたもの。前面だけで、後方は観賞できるようには作られていない。

 形での区別は、屋根の流れの向きでは左流れ、正面向き、右流れ。屋根の形で通常のもの(特に呼称なし)、梅干屋形人形台
また場所について、頂上に置いたものを天上屋形、柱に密着させたものは柱隠し等と呼ぶ。

 屋根は赤というのが決まりだが、見た目が赤ばかりにならないようにという意図で、まれに緑のものも飾られていた。これは、その役割のため梅干屋形一つだけが用意されていたようだ。
 また、屋根に金の線が入っているのは流れを作るためで、現在の屋形はほぼ全てがそうなっているが、古い写真の中には全てがそうでない模様のものも見られる。
緑の梅干屋形
屋根が緑の屋形    
右流れの、模様屋根の屋形
屋根が模様の屋形

屋形の骨組み

(ヤマ)
 山笠のことは、通常の会話等では「山」とだけ呼ぶ。山つくり山解き山師山小屋座り山曳き山追い山送り山帰り山等と、他の言葉に付けるときも「山」とだけしか付かない。

山笠(ヤマカサ)
 浜崎祇園祭で運行するもののこと。運行形態は曳き山である。通常の会話等では「」とだけ呼ぶが、文字にして名称を表記するときは「山笠」となる。これは恐らく博多に習ってそのまま表記しているだけだと思われる。

山小屋(ヤマゴヤ) 東組山小屋
東組山小屋外観

山小屋の中
山小屋の中
 山笠台車や木材、飾り等の部品を保管しておく倉庫のこと。知らない人は山間部に建った小屋のことと間違う。

 四本柱は長すぎて収まらないため、山囃子会館横に収めている。以前は町内三箇所の寺の床下に保管していたが、あまり保管環境としては良くなかった。

 他所の祭では完成した山笠を収めておく小屋のことも山小屋と呼ぶようだが、浜崎にはそれにあたるものは無い。

山師(ヤマシ)
 山つくりの総監督のこと。一般的な意味では山林の管理をする人や、鉱山の鉱脈を当てる人、転じて博打打ちや詐欺師を言うようだが、そちらとは全く関係ない。
昔は組み立て以前、人形や各飾りの製作から全て関わっていた。

山つくり(ヤマツクリ) 平成17年地山作業
 山笠を組み上げる作業のこと。基本的に地元の人間が無償(食事ぐらいは出るが)で、一ヶ月ほど前から、休日を利用し数日かけて行われる。
本職ではない者達が男結び輪差かけ、番線のきめ方等を覚え、高所での作業をしなければならないため、苦労も多い。ただ、自分達でその苦労をしていることが大きい山笠を運行し続ける原動力になったとも言われる。
平成十八年山つくりのページで詳細な過程を見ることができます。

山つくりさん(ヤマツクリサン)
 山師のこと。呼称としてはこちらの方が一般的。

山解き(ヤマトキ)
 山笠の解体作業のこと。祭りの終わった当日の深夜から夜を徹して自分達で行い、夜が明ける頃には跡形もなくなっている。このことから浜崎の山笠は幻のヤマと呼ばれると宣伝されていることもあるが、実際に聞くことは無い気がする。
 この作業をするときにはみんな疲れ果てており、かなり辛い。
平成十八年山解きのページで詳細な過程を見ることができます。

槍出し(ヤリダシ) 地山上部横から
 山笠四本柱五本柱)から前方に突き出した部分で、左右交互に出すのが決まり。
下のものほど大きく、上のものほど小さくなって遠近感を出している。
また、上のものほど傾きが急になっており、一番上の槍出しで作業をするのは慣れないとかなり恐い。

 浜崎の山笠には奥行きがあると言われるが、この槍出しと南瓜棚が奥行きを出すためには有用。上手く使って、実際の距離以上の奥行きを出せれば上手く飾れたと言える。

雪山(ユキヤマ)
 雪の積もった場面を飾った山笠。扱う外題が限られ、屋形に雪をつもらせる前準備や、後でそれらを元に戻すため全て張り替える手間がかかるので、なかなか見られない。
 写真館にあるものでは、S50表東組、H6、7裏東組、S61〜63表裏西組、H14、15表裏西組が雪山となっている。

横幕(ヨコマク)
 山笠の横に張られる幕。昔は初節句に買ったのぼりを使ってもらい、子供が立派に育つよう願をかけていた。
 初節句ののぼりの提供は子供の生まれ具合により安定しないため、この風習は廃れていたが、運行路の道路拡張などにより横が見えやすくなったため、固定して使用する幕が必要ではないかという話になった。ある企業が自社名を大きく書いた横幕を寄付しようと申し出たが、山笠を広告に利用しようとしているだけと判断され顰蹙を買い、却下された。
 その後西組が新しく製作、二百五十年祭にあわせ濱組も製作した。東組は幕を付けると昼間横から光が入らず遠見が暗くなる等の理由から、縄を張って横を隠す方法をとっている。またそれだけでは寂しいということで、平成18年からは、以前から協力を受けている「大江組」の提灯も取り付けるようになった。

輪差(ワサ)
 山つくりで、縄を結ぶときの最初のかけ方。引けば締まるようになっていて、横にずれることを防ぐ。


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